迷ったら遺留分侵害額請求

遺言者の遺言能力に疑問がある場合や遺言が他の者によって偽造された疑いがある場合などは、「遺言無効確認の訴え」により遺言の効力を争うことになります。
しかし、遺言が無効であることを証明することは容易なことではありません。

そのため、遺言無効の主張と合わせて、遺留分侵害額請求を行うことが有益です。遺留分侵害額請求は、有効な遺言や生前贈与が行われたことが前提となりますので、本来は遺言無効の主張と矛盾します。しかし、仮に遺言無効の主張が認められなかった場合に備えて、予備的に、遺留分侵害額請求の意思表示を行うことができます。

遺留分侵害額請求は、「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する」(民法1048条前段)ため、迷ったら予備的にでも、遺留分侵害額請求の意思表示を内容証明郵便によって行うことが大切です。

この記事を書いた人

伊藤 朝日太郎